こんにちは。姿勢と歩行の整体の渡辺と申します。
「上腕骨外側上顆炎(じょうわんこつがいそくじょうかえん)」とは「テニス肘」とも呼ばれ、肘の外側にある骨の部分に痛みをだす疾患です。
この部分です。(右腕を後ろから見た図)
まず結論を述べると、上腕骨外側上顆炎(テニス肘)の根本原因の1つは「手関節をそらす動きの悪さ」です。
「手関節をそらす動き」とは、下の画像の動きです。
テニス肘の根本原因はいくつかあり、他の原因については以下の記事で紹介しています。
● 一般的に肘の痛みに良いと言われているストレッチをやっているけど良くならない…
● 痛みが出ている部分だけをマッサージしているけど良くならない…
などのお悩みがある方は、肘だけでなく手関節が痛みの原因になっていることがあります。
その場合にはいくら肘にアプローチしても改善することはありません。
上腕骨外側上顆炎(テニス肘)の一般的な原因は「使いすぎ」だと言われ、手をそらす筋肉の硬さが原因だとされています。
手をそらす筋肉とはここの部分で、肘の外側から手の甲側を通って指にいきます。
下の画像に示す青くなっている筋肉です。
この筋肉は肘の外側から指の先までいきます。
私はこの筋肉の硬さが根本原因ではないと考えています。
ここでの根本原因は、あくまで「手をそらす動きの悪さ」です。
重要なのは、上腕骨外側上顆炎(テニス肘)とは、転んで肘をぶつける時のように1回の負荷で痛めるわけではないということです。
骨に負荷が繰り返しかかり続けて限界を超えたときに痛みが出るということです。
なので、痛みが出ている時点であなたの肘に痛みが出る原因は完成しています。
たとえば1年前から肘に痛みがあるのなら、その時点ではもう肘に痛みがでる土台は完成しています。
もし、痛みを出ている部分を冷やしたり、湿布を貼ったりしかしていないのであれば、それは対症療法でしかありません。
あなたの肘や手の動きは変わっておらず、根本原因は解決していません。
だから一度痛みが引いても、また痛みが出てくる可能性が高いです。
テニス肘の痛みが出る部分は肘の外側
テニス肘の痛みが出る部分は肘の外側です。
ここは骨です。触ると硬いですよね。
この部分の骨には、手をそらす働きがある筋肉がつきます。
つまりテニス肘というのは、手をそらす筋肉がつく骨の部分に繰り返し負荷がかかるため、痛みが出ている状態です。
では、なぜそうなってしまうのか。
この部分は上腕骨の1番下の部分であり手関節をそらす動きをする筋肉がついています。
なのでこの部分に痛みがある方は、基本的には手をそらす動きがうまくいっていません。
そして上腕骨外側上顆炎が「テニス肘」と言われる理由は、テニスのバックハンドの動作で手首をそらす動きが多く、この動作で痛みがでやすいのでこう呼ばれています。
一般的な整形外科や整骨院では、テニス肘の根本原因は「使いすぎ」と言われています。
そして、この手をそらす筋肉が固いからだと言われています。
だから治療法としては手をそらす筋肉のストレッチが一般的におこなわれます。
そしてそのストレッチで良くならなければ、痛み出ている部分にステロイド注射を行ったりします。
手をそらす筋肉のストレッチで良くなる方は、それでいいと思いますが、良くならない方もいらっしゃいます。
不思議に思いませんか?同じようにテニスをしていても、肘に痛みがある方もいれば、痛くない方もいる。
同じようにバックハンドを打っていても、みんなが同じように痛みを出すわけでは無いんです。
もっと言えば、テニスをしていなくても日常生活で肘の外側に痛みがある方もいます。
例えばお料理の際にやかんを持ったりだとかカバンを持ったりだとか手のひらを下にしてものをつかむ動きで痛みが出たりします。
先程のストレッチで良くなる方はそれで大丈夫です。しかし実際にはそのストレッチだけでは改善しない方が大半です。
それは何故かと言うと、痛みが出る状態になっているかが人によって違うからです。
痛みが無い方は、肘にかかる負荷が小さく、痛みがある方は、肘にかかる負荷が大きい。
そこの違いです。
上腕骨外側上顆炎(テニス肘)の根本原因:「手をそらす動きの硬さ」
では実際に、どこがテニス肘の根本原因なのかというと、「手をそらす動きの硬さ」です。
この手をそらす動きが硬いと、上腕骨外側上顆炎(テニス肘)になりやすいです。
それは(手のひら側に)手を曲げる筋肉が硬くなっている状態です。
手を曲げる動きとは文字通り手のひらが下に向くような動きです。
手のひら側に手を曲げる動きは手をそらす動きの逆です。
なので手のひら側に手を曲げる筋肉が硬い人は、手をそらす動きがうまくいきません。
手が下に曲がっている状態で硬くなっているので、手をそらすのに、通常よりもパワーが必要になります。
硬いけれども動きとしては出したい。だから手をそらす筋肉が通常よりもがんばって手をそらします。
そうなると、手をそらす筋肉は肘の外側についています。
なので、肘の外側が通常よりも強いパワーで引っ張られる。
それが数回の負荷なら耐えられるんですが、数十回・数百回・数千回と重なってくると、骨が過剰に引っ張られすぎてやがて痛みがでてきます。
もし手をそらす筋肉のストレッチをやっても良くならない場合であれば、
手関節が下に曲がって硬くなっていることが問題になっていることがあります。
テニス肘の根本解決には、手関節へのアプローチも必要です。
テニス肘の根本解決には「手を曲げる筋肉の硬さをとること」
手を曲げる筋肉が柔らかくなれば、スムーズに手をそらす動きが可能になります。
そうなれば、手をそらす筋肉ががんばらなくていいので、骨にかかる負荷が減るので痛みが減っていきます。
ただ、下の画像に示す通り、手を曲げる筋肉はたくさんあります。
ここに写っているだけで5つくらい筋肉があるんです。めっちゃ多いですよね。
これらの筋肉の一番硬い部分を柔らかくする必要があります。
筋肉を柔らかくするにはストレッチより「ほぐす(マッサージ)」ことがおすすめ
筋肉を柔らかくする方法は大きく分けて2つです。
- ほぐす(マッサージ)
- ストレッチ
このどちらかです。
一般的なテニス肘のストレッチは、以下のようなものが紹介されます。
しかし私は、ストレッチではなく「ほぐす(マッサージ)」ことをおすすめします。
それはなぜかというと、同じ1つの筋肉でも硬い部分と柔らかい部分があるんです。
例えるなら、腰に巻くベルトを筋肉とすると、ベルトの前側半分は硬いけど、背中側半分は柔らかいみたいなイメージです。
ストレッチをすると、筋肉全体を伸ばすことになり、硬い部分より柔らかい部分が伸びてしまうという特徴があります。
なので、硬い部分だけをピンポイントでほぐして柔らかくする方が効果が高いです。
テニス肘の方がほぐす部分は「腕の前側」
手を曲げる筋肉のどの部分が硬いのかは人によって違います。
あなたの痛い方の腕で構いません。これらの筋肉がある腕の部分を触ってみてください。
左の画像の方が、青い丸で囲った範囲が小さいんですが、手のひらから指の部分は筋肉が大きくないので、左の画像の範囲で大丈夫です。
痛い方の腕と、痛くない方の腕の同じ部分を触って比べてみてください。
やたらと硬い部分はありませんか?
そこを手でほぐしてみてください。それだけで大丈夫です。
もし左右差がわかりにくい場合は、痛い方の腕で、肘に近い方と遠い方、内側と外側と中央でそれぞれ比べてみてください。
他の部分と比べて硬い部分をほぐすと、その部分が柔らかくなる。
その状態で、また他の部分と比べて一番硬いと感じる部分をほぐす。
それを繰り返してみてください。
触ってみて「なんかここ硬いな」という部分をほぐすことが大切です。
もし、手をそらすだけで痛い方は、ある程度ほぐしてみて、ほぐす前と後で痛みが少しでも減っていれば正解です。
ただ、経過が長い方(2年前から痛い)は、筋肉がとても硬くなっているため、少しほぐしただけでは痛みが減らないことが多いです。
なので、少しほぐして痛みが引いてこない場合にはすぐに諦めず、しばらくほぐしてみてください。
一点注意点としては、あまり強い力でほぐすと筋肉を痛めてしまうので、「痛気持ちいい」くらいの力でやることと、
ほぐしていると手がしびれてきたりする場合には、神経を圧迫している可能性があります。
場所をずらして、しびれがないようにほぐしてください。
まとめ
今回は、肘の外側に痛みをだすテニス肘の根本原因とアプローチについて解説しました。
テニス肘は、手を曲げる筋肉が硬くなっているために、必要以上に手をそらす筋肉が働かなくてはいけない状態です。
一回の負荷は小さくても、繰り返し何回も負荷がかかり続けると、耐えられなくて痛みが出てきます。
その根本原因を解決するには、手を曲げる筋肉を柔らかくすればいいんです。
具体的には、ストレッチとマッサージの2つの方法があります。
しかし、筋肉が硬くなりすぎている人は、ストレッチでは正しく筋肉が伸びないことが多いです。
なので、私は「ほぐす(マッサージ)」ことをおすすめしています。
「なんか硬いな」と感じる部分を、あなたの手で直接ほぐしてみてください。
そうすれば、少しずつあなたの本来の手の動きが出てきます。
本来の動きが出れば、手をそらす筋肉ががんばらなくても良くなるので、肘の外側にかかる負荷が減っていきます。
そうなれば、痛みが徐々に減っていきます。
ぜひ試してみてください。