【改善例紹介】ランニングでの右膝内側の後面の痛み・つっぱり感

こんにちは。
姿勢と歩行の整体院の渡辺です。

今回は、ランニングでの右膝内側の後面の痛み・つっぱり感が気になるという症例を紹介します。

目次

患者さんの情報と訴え

この方は40代前半の男性で、約2年前から右膝の症状があり、4件程度整形外科や整体院を回られたが、改善しなかったとのことでした。

症状は、走り出して1km程度経過したころから徐々に右膝内側の後面に痛みとツッパリ感が出現し、痛いながらも走り続けると2kmを超えたくらいで今度は徐々に痛みが楽になってくるとのことでした。

痛みの出ている部分を下の画像①に示します。

<画像①:両脚を後面から見た図。それぞれ左・右の腓腹筋内側頭を示す>

この部分は、以前の記事でも紹介した、足首と膝を曲げる筋肉である腓腹筋(ひふくきん)の内側頭(ないそくとう)と呼ばれる部分です。

腓腹筋には、内側と外側に分かれて大腿骨に付いている部分があります。

その内側の部分を「内側頭」、外側の部分を「外側頭」と表現されます。

※腓腹筋の機能に関しては以前の記事↓にて記載しております。

膝の後ろに痛みをだす組織

ここで注意が必要ですが、膝関節の後ろに痛みをだす組織で代表的なものは、膝の半月板(はんげつばん、下の画像②参照)に負担がかかっている場合があります。

<画像②:右の半月板を示す>

半月板に何らかの損傷が認められる場合には、膝に水がたまったり(膝関節水腫)、整形外科的徒手検査であるマックマレーテストで痛みやクリック音が誘発されることが多いです。

しかし半月板損傷単体では、ツッパリ感はほとんどの場合に認められませんし、走っていて症状が軽減してくることはあまりありません。

むしろ負荷がかかるにつれてどんどん痛みが増してきます。

この方は膝に水もたまっていませんでしたし、マックマレーテストでも膝に痛みなどは誘発されませんでした。

半月板の痛みではないとなると、もう少し皮膚に近い組織である「関節包」や「筋肉」の痛みが最も疑われます。

関節包とは、その名の通り関節を保護するために包んでいる袋のことで、普通はあまり伸びません。

むしろ伸びると関節にゆるみが出てしまうため、身体にとって困るからです。(下の画像③参照)

<画像③:右膝を後面から見た図(関節包は青色で表現されています)>

そうなると一番疑われるのが、「筋肉」となり、先ほど述べた「腓腹筋の内側頭」が痛み・ツッパリ感を出している原因としては最も濃厚でした。

この方の痛み・つっぱり感の正体

では、腓腹筋の内側頭にどのようなストレスがかかると、痛みやツッパリ感が出現するのでしょうか。

まず、「つっぱり感が出現する」ことは、「筋肉が伸ばされている」ことと同意です。

ストレッチをすると筋肉が伸ばされてつっぱりますよね?

ということは腓腹筋の内側頭が過剰に引っ張られすぎて、痛みが出ていると考えられます。

以前の記事での紹介した通り、腓腹筋は、

  • 膝関節を曲げる作用
  • 足関節を曲げる作用

があります。

ということは、腓腹筋が伸ばされる肢位というのは、膝関節も足関節もともに伸びている状態ということになります。

つまり、地面から踵が離れる瞬間の肢位です。(下の画像④に示す)

<画像④:右足の踵が地面から離れる瞬間>

↑まさにこの瞬間です。

この状態の時が、腓腹筋が最も伸ばされています。

しかし、この状態では、腓腹筋の内側頭と外側頭がほとんど同じ程度伸ばされるはずです。

では、なぜこの患者さんは腓腹筋の内側頭ばかり痛み・ツッパリ感が出てしまうのでしょうか。

その答えは、股関節と足部に問題があり、地面から踵が離れる瞬間に大腿骨と下腿骨が外側に回旋してしまうから、内側頭の部分ばかり伸ばされるということです。

下の画像⑤に示します。

<画像⑤:右の大腿骨と下腿骨が外側に回旋してしまう様子を矢印で示す>

このように脚が外側に逃げると、腓腹筋内側頭が外側にねじるように引っ張られるため、過剰に伸びて痛みを出しやすいんです。

この方の問題点

この方に対して姿勢・歩行の確認を行ったところ、

  1. 立った姿勢ですでに股関節が外側に回旋している
  2. 足部のハイアーチ傾向に伴う外側荷重(小指に体重がのりやすい)

という傾向が認められました。

これらを詳しく解説します。

股関節の問題点

1つ目の、「立った状態ですでに股関節が外側に回旋している」という点ですが、下の画像⑥に示します。

これは、太もも部分の大腿骨(だいたいこつ)が外側に回旋することによって、大腿骨と骨盤で構成される股関節も外側に回旋してしまっている状態です。

<画像⑥:右の大腿骨が外側に回旋する様子を示す>

大腿骨が外側に回旋すると、大腿骨の下に関節している下腿骨(かたいこつ)も外側に回旋するため、股関節の影響が足の方まで波及していきます。

では、大腿骨が外側に回旋してしまう原因ですが、

  • お尻の筋肉である殿筋(でんきん)が硬い
  • 内ももの筋肉である内転筋(ないてんきん)が硬い

という原因があります。(下の画像⑦に示す)

<画像⑦:お尻の筋肉である「殿筋」>

<画像⑧:右の内ももの筋肉である「内転筋(ないてんきん)」>

これらの筋肉をしっかりと緩めていくことで、外側に回旋しすぎている股関節を、本来あるべき位置に調整していきます。

足の問題点

この方は足のアーチが高くなる「ハイアーチ」傾向が認められました。

アーチ、つまり土踏まずの部分が上がっているので、体重が外側に逃げてしまいやすくなります。

そうすると、足と関節している下腿骨も連動して外側に回旋しやすくなります。(下の画像⑨に示す)

<画像⑨:足部が外に逃げることによって、下腿骨も外側に回旋してしまいます>

つまりアプローチとしては、足のアーチをしっかりとつぶせるようにすることです。

一般的にアーチがつぶれているのは問題という先入観があると思いますが、ハイアーチの人は、アーチが過剰に上がりすぎているため、むしろアーチを適度につぶせるようにアプローチをする必要があります。

施術アプローチの要点

この方は地面から踵が離れる瞬間に大腿骨と下腿骨が外側に回旋してしまうため、その逆に導けば、問題が解決します。

なので施術アプローチの要点としては、以下の2点でした。

  • 股関節へのアプローチ
  • 足へのアプローチ

これらを並行して進めていくことで、しっかりと脚が前後で動くため、筋肉に負担がかかりにくくなります。

(このアプローチは、以前の記事↓でも重複しているため、気になる方はこちらもご覧ください。)

股関節も足部も、どちらも多数の筋肉や靭帯などの組織があるため、詳細な評価が必要です。

まとめ

この方は、2年前から症状があり、その経過の長さもあり、筋肉もかなりの硬さがありました。

お仕事がお忙しい中、積極的にストレッチ・セルフマッサージなどに取り組んでいただいたおかげで、当初の痛み・つっぱり感を10とすると、10が7→6→3・・・というように減っていきました。

そして最終的には痛み・つっぱり感なくランニングをすることが可能になりました。

膝が痛いのに、股関節や足にアプローチをする必要性があることに当初は大変驚かれておりましたが、痛みなくランニングを楽しみたいというゴールを目指して一緒に取り組んでいただけたことに本当に感謝しています。

私は、症状の出ている部位だけでなく、患部外の関節や骨格の評価も詳細に行い、あなたのお身体の状態に合わせて施術を行わせていただきます。

もし何かお困りのことがあれば、遠慮なくご相談ください。

今回も、読んでいただきありがとうございました。

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【過去の記事で、膝関節・足関節を中心に、腰・股関節など各関節の記事をまとめております。気になる方はご覧ください】

・膝関節の記事はこちらから→「膝関節の痛み・症例」の記事一覧

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