【アキレス腱炎】アキレス腱の痛みの原因とアプローチの要点を解説!

こんにちは。
姿勢と歩行の整体院の渡辺です。

今回は、アキレス腱炎・アキレス腱部の痛みについて、私の考えを記載していこうと思います。

最初に結論を述べます。

アキレス腱炎・アキレス腱部が痛くなる原因は、ふくらはぎの筋肉が過剰に働いているからです。

なぜふくらはぎの筋肉が過剰に働いているかというと、以下の2点が重要です。

  1. 足関節の動きが悪いことにより、踵が地面から離れるのが早い
  2. 痛みの出ている側の脚が「蹴り出し脚」になっている

の2つです。

ですので、アキレス腱に痛みがでているのは、「結果」です。

アキレス腱への負担を減らさない限りいつまでも歩き方が変わらないため、一旦痛みが治まっても、原因がそのままなのでまた痛くなります。

以下で詳しく解説していきます。

目次

そもそも腱とは何か

そもそも「腱」とは何かというと、簡単に表現すると、筋肉と骨を結ぶ強靭な組織です。

筋肉は体全体に存在していて、骨を動かして運動を可能にしています。

有名な筋肉としては、肘をぐっと曲げた時に「力こぶ」として表現される上腕二頭筋(じょうわんにとうきん)や、膝をまっすぐに伸ばした時に力が入る太ももの前の筋肉である大腿四頭筋(だいたいしとうきん)があります。

このどちらも、力を抜いた状態で触っていただくとわかりますが、結構柔らかくないですか?

筋肉を形づくる「筋線維」は、安静時は比較的柔らかいため、このまま硬い骨に付くわけではないんです。

なので、強靭な腱を介して、骨に強固に付着しています。

腱があるから、筋肉の強い収縮力に耐えることができ、骨を力強く動かせるというわけなんです。

(※おなかの中や胸の中の内臓も多くは筋肉で構成されていますが、ここでは四肢の動きを司る「骨格筋」のみに絞ってお話させていただきます。)

アキレス腱とは

では、両足首の後ろにあるアキレス腱ももちろん、筋肉と骨を結んでいます。

その筋肉とは、腓腹筋(ひふくきん)ヒラメ筋です。(下の画像①に示す)

そして、踵の骨(踵骨:しょうこつ)に付着します。

腓腹筋とヒラメ筋の働きについては、以前の記事↓で書かせていただきましたので、気になる方はご覧ください。

<画像①:右足を後ろから見た図。腓腹筋とヒラメ筋とアキレス腱>

アキレス腱炎の症状・病態

では、アキレス腱炎とはどういう病態で、どういう症状がでるのかを説明します。

病態としては、読んで字のごとくアキレス腱自体に炎症が起こった状態です。

そして、アキレス腱の深層には、アキレス腱下滑液包(かつえきほう)という滑りを良くするような組織などもあるのですが、滑液包などのアキレス腱周囲の組織に炎症が起こってしまうものは「アキレス腱周囲炎」と呼ばれます。

主な症状としては以下のようなことです。

  • 炎症が強い急性期の場合:じっとしていてもズキズキと痛い(安静時痛)
  • 押すと痛い
  • 腫れて熱感がある
  • 歩いているor走っていると徐々に痛くなってくる
  • 痛みがひどくて歩けなくなる(走れなくなる)

特に「痛み」が主訴となります。

アキレス腱炎の原因

私が考えるアキレス腱炎の原因は、以下の2点です。

  1. 足関節の動きが悪いことにより、踵が地面から離れるのが早い
  2. 痛みの出ている側の脚が「蹴り出し脚」になっている

これらの原因があると、以下の状態になります。

  • 腓腹筋・ヒラメ筋が硬くなり、アキレス腱に負担がかかる状態が続く
  • 長時間の歩行・走行ではアキレス腱に過剰な負担がかかり続ける
  • ジャンプ動作などの反復によりアキレス腱に過剰なストレスが繰り返しかかる

共通しているのは、アキレス腱への繰り返しのストレスです。

つまり、アキレス腱炎には一回の外力でなるわけではないということです。

よって、アキレス腱炎になりやすい方というのは、足の動きを反復して行う動作である走行や歩行、つまりランニングやウォーキングといったことが好きな方です。

しかしここで重要なのが、アキレス腱炎になる方の中でも、多くは片側のみ症状が出ています。

例えば右足のアキレス腱だけが痛くなるなどの片側性のアキレス腱炎・アキレス腱周囲炎です。

確かに筋肉の柔軟性が低下している場合、痛みを出しやすいですが、いつも片側ばかり痛くなるのはなぜだろうと不思議に思いませんか?

そして、同じようにランニングをしたり、ウォーキングをしている方はたくさんいらっしゃるのに、なぜあなただけ症状が出てくるのか不思議ではないですか?

そしてそして、ストレッチはむしろ入念にやっていませんか?柔らかくなっているはずなのになぜ痛みが出てくるんだろう?などと感じていませんか?

私は整形外科勤務歴がありますが、よく患者さんからこのような疑問の声をいただきました。

レントゲン検査では骨に異常はないが、MRI検査でアキレス腱部に信号変化があるため、アキレス腱炎・アキレス腱周囲炎と診断され、医師からリハビリテーションを処方された方々です。

「なぜなのか不思議に思っていた」と。

もちろん最初に挙げた原因は大いに関係しています。

では、以下で2点の原因について解説していきます。

原因①:「足関節の動きが悪いことにより、踵が地面から離れるのが早い」

腓腹筋とヒラメ筋の働きの代表的なものとして、足関節の底屈(ていくつ)があります。

これは、足首を下に曲げる運動です。地面に立っている状態では、つま先立ち動作をします。(下の画像②に示す)

<画像②:足関節の底屈の動き>

そして歩行では、地面から離れる瞬間に足の指で地面を蹴る、「蹴り出し」の動きを作り出します。(下の画像③に示す)

<画像③:右足の蹴り出しの瞬間>

この瞬間です。

しかし、地面を蹴り出す前には、足首がしっかりと背屈(はいくつ)、つまり足が反った状態がつくられていることが前提となっています。(下の画像④に示す)

<画像④:足関節背屈(右足を右側面から見た図)>

なぜかというと、筋肉はゴムに似ているため、ある程度伸ばされていた状態が、力を発揮しやすいんです。

そして、次が重要なポイントですが、足関節の背屈の動きが悪いと、踵が地面から離れるのが早くなります。

そうなると、腓腹筋とヒラメ筋は足関節の底屈筋(足首を下に曲げる作用)であるため、腓腹筋とヒラメ筋が収縮している時間が長くなり、アキレス腱に負荷がかかる時間が長くなります。

だから、痛みが出やすいんです。

足関節の背屈がきれいに入らないと、普段の歩行で腓腹筋やヒラメ筋が伸ばされる回数が少ないため、硬くなりやすいんです。

なので、運動する前にストレッチしたくらいでは、その硬さを取り除けないため、

根本的には足関節の背屈をきれいに入る状態でストレッチをした状態が理想的だと私は考えます。

原因②:「痛みの出ている側の脚が蹴り出し脚になっている」

次に、踏み出し脚と蹴り出し脚についてですが、詳細はこちらの記事↓を読んでいただければと思います。

大切なことは、蹴り出し脚は、歩行において足が身体の後ろにある時間が長くなるため、アキレス腱にかかる負担が大きくなるということです。

つまり、先ほどの足の動きの悪さと蹴り出し脚が合わさった時に、非常にアキレス腱にかかる負担が強くなります。

私がみさせていただいた方たちは、ほとんどもれなくこの状態になっていました。

施術アプローチの要点

アキレス腱炎の施術アプローチの要点としては、ズキズキとした痛みがあり、腫れも伴っている場合は、まずはアイシングや運動の中止が大切です。

そして、足の背屈の動きの改善と、蹴り出し脚へのアプローチです。

  1. 足関節の背屈の動きを改善させることにより、腓腹筋とヒラメ筋がストレッチされやすい状態をつくる
  2. 蹴り出し脚を踏み出し脚化させ、歩行・走行でアキレス腱に負荷がかかる時間を減少させる

ここで重要なのが、蹴り出し脚を踏み出し脚の方に誘導するいう点です。

これは、痛みの出ている側に原因がある場合と、痛みの出ていない側に原因がある場合があるため、患者さんのお身体の状況によってアプローチする側も順番も異なります。

まとめ

今回は、アキレス腱炎について、足関節の動きと歩行・走行における原因を中心に書かせていただきました。

アキレス腱に痛みが出ていても、痛い側の足だけでなく、痛みが出ていない反対側の足や股関節にアプローチすることも多々あります。

なので、「これだけやっておけばいい」ということはほとんどありません。

そして何か1つアプローチすると、お身体に何かしら変化が生じるため、またその状態に合わせてアプローチを変化させる必要性が出てきます。

そのくらい人間の身体は全身つながっており、精密に構成されています。

当院では、あなたのお身体の状態に合わせて施術を行わせていただきます。

もし何かお困りのことがあれば、遠慮なくご相談ください。

今回も、読んでいただきありがとうございました。

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【過去の記事で、膝関節・足関節を中心に、腰・股関節など各関節の記事をまとめております。気になる方はご覧ください】

・膝関節の記事はこちらから→「膝関節の痛み・症例」の記事一覧

・足関節の記事はこちらから→「足関節の痛み・症例」の記事一覧

・腰の記事はこちらから→「腰の痛み・症例」の記事一覧

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・首から肩の記事はこちらから→「首から肩の痛み・症例」の記事一覧

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