こんにちは。
姿勢と歩行の整体院の渡辺です。
今回は、ゴルフをすると腰が痛くなってくるという症例を紹介します。
患者さんの情報と訴え
この方は50代の男性で大のゴルフ好きなのですが、2年ほど前から、全18ホールを回る際に、徐々に腰の下のほうの痛みが増していき、9ホール経過したときにはかなりの腰の痛みが出てくるため、なんとかしたいという訴えでした。(痛みの部分は下の画像①に示す)

<画像①:後ろから見た図>
この部分には以前の記事↓でご紹介した通り、背中を反らす脊柱起立筋がついています。

また、整形外科で腰のMRI検査も受けたことがあるとのことで、結果は下位の腰椎部の椎間板の間が狭くなっているといわれたとのことでした。
そして、この2年の間に接骨院や整体院などさまざまなところに通われたらしく、中には「全身から良くしないといけない」といわれ、背骨の首の部分である頚椎(けいつい)をボキボキ鳴らされ、すごく怖い思いをしたと、治療院に対する不信感も訴えられました。
ゴルフでの腰部へのストレス
ゴルフというスポーツの特性上、スイングする際に、身体を前にかがめた姿勢から、
- 身体を回旋させ
- 身体を反らす
という特徴があります。(下の画像②に示す)
<画像②:ゴルフスイング>
このスイング動作の反復で痛みが出ているのならば、この2つの動きが円滑にいかないため、腰に負担が集中して痛みがでていると考えられました。
この方の問題点
そのことを踏まえて、この方の姿勢・歩行・骨格の向きなどを確認させていただいたところ、この方のお身体の特徴として、
- 胸椎部(背骨の胸の部分)の硬さ
- 太ももの前の筋肉の硬さ(大腿四頭筋)
- 臀部の筋肉の硬さ
が際立っていました。
太ももの前の筋肉の硬さに関しては、脊柱起立筋と同様に、以前の記事↓で記載したため、そちらをご覧いただければと思います。

ゴルフにおける身体の回旋運動では、足が地面に固定されているため、回旋運動をする部分は限られてきます。
細かな関節の動きは多々ありますが、主に胸椎と股関節です。
それらの部分の回旋の動きが阻害されるため、腰部の負担が増してきて何らかの障害がでてきます。
胸椎部の硬さに関して説明するにあたり、簡単に背骨=脊椎(せきつい)について簡単に説明します。
胸椎とは
背骨には、頚椎(けいつい)・胸椎(きょうつい)・腰椎(ようつい)と、それぞれ部位により名前がついており、それぞれに得意な動きがあります。(下の画像③に脊椎を示す)

<画像③:脊椎を後ろから見た図>
- 頚椎:回旋運動(頭を左右に回転させる動き)
- 胸椎:回旋運動(体幹を左右に回転させる動き)
- 腰椎:屈伸運動(身体を前屈したり後屈したりする動き)
簡潔に表現するとこのようになります。
ですので、先ほどのゴルフのスイングについて考えると、股関節と体幹部を主に回転させるため、胸椎と股関節の回旋運動が重要になってきます。
※頚椎も回旋運動が得意ですが、スイング時には頭だけ回旋しているわけではないため、胸椎がより大切だと私は考えます。
お尻の筋肉の硬さ
そして次にお尻の筋肉の硬さですが、臀部にはたくさんの筋肉があります。(下の画像④に示す)

<画像④:後ろから見た図(左の丸が表層の大殿筋で、右の丸が大殿筋より深い層にある筋群)>
このようにたくさんありますが、これらの多くの筋に共通の特徴があり、それは股関節を外側に回旋させる動きです。簡単に言うと、つま先を外側に回す動きです。
なのでこの筋肉が硬くなってしまうと、股関節の回旋運動がうまく出なくなるため、
本来屈伸の動きがメインの腰椎に回旋運動が強要されるため、痛みが出やすくなります。
胸椎の動きも制限されていれば、なおさらです。
施術アプローチの要点
この方への施術アプローチの要点としては、胸椎の動きを出しつつ、臀部と太ももの前の硬さをとることで股関節の動きを改善させることを中心に行いました。
経過も2年と長かったので、筋肉や関節周囲の組織もかなりの硬さがありました。
私の感覚的には、「ガチッ」と固まっているという感じがしました。
序盤は関節の動きが改善してくるまでかなりの時間がかかりましたが、
一度動きが出始めたら、そのあとは日に日に動きがよくなっていきました。
人間の身体の本来の負担の少ない動きが出ているので、日常生活動作での身体へのストレスも比例して減少していきます。
徐々にゴルフの練習から開始し、練習時の身体の疲れ方や動きが変化しているのが分かったとおっしゃっておりました。
そして最終的には、新しいゴルフクラブを買うことを考えるほど前向きになり、私自身もとても嬉しかったです。
まとめ
今回は、ゴルフでの腰痛に悩まれている方の改善例を紹介しました。
感覚の鋭い方は、施術後すぐに変化を感じることもあります。
私の考えとしては、例えば主たる症状が2年前から出ているとしたら、関節の硬さや動きの悪さはそれ以前にもう存在しています。
普段の生活でも身体は動いていますから、ギプス固定をしているなど特殊なケースを除いて、数日そこらで関節の動きが悪くなってくるということはありません。
徐々に徐々に、動きが悪くなってくるというイメージです。
なので、焦らずにある程度の時間をかけてしっかりと本来の動きを取り戻していくことが大切です。
患部の症状の軽減だけでなく、全身の状態を評価しながらあなただけの施術を行います。
何かあれば遠慮なくご相談ください。
今回も読んでいただき、ありがとうございました。

【過去の記事で、膝関節・足関節を中心に、腰・股関節など各関節の記事をまとめております。気になる方はご覧ください】
・膝関節の記事はこちらから→「膝関節の痛み・症例」の記事一覧
・足関節の記事はこちらから→「足関節の痛み・症例」の記事一覧
・腰の記事はこちらから→「腰の痛み・症例」の記事一覧
・股関節の記事はこちらから→「股関節の痛み・症例」の記事一覧
・肘から手の記事はこちらから→「肘から手の痛み・症例」の記事一覧
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姿勢と歩行の整体院 柔道整復師 渡辺雅之