こんにちは。
姿勢と歩行の整体院の渡辺です。
今回は、右手首の腱鞘炎(ド・ケルバン腱鞘炎)の方の症例を紹介したいと思います。
患者さんの情報と訴え
この方は40代後半の女性で、利き腕の右手の手首の痛みが半年前からありました。
料理や家事などの際の痛みで日常生活に支障をきたしていたため、近所の整形外科に受診し、ド・ケルバン腱鞘炎と診断され、手首につける装具と痛み止めの内服薬を処方されました。(下の画像①の赤丸の部分が痛みがでていた部位です)
※ド・ケルバン腱鞘炎とは、手首から親指に向かって走る腱に過剰な負荷がかかることによって炎症が起こってしまう病気で、よく手を使う方に発生します。

<画像①:右手を手の甲側から見た図>
そして、「次また来てくださいね」と言われることもなく、「痛みが続くようなら、もう手術しかありません」と言われるだけで、失望したとのことでした。
とにかく、手術はなんとかして回避したいとのことで、姿勢・歩行・骨格の向き・関節の動きのチェックをさせていただきました。
この方の痛みの原因
この方は、鎖骨・肩甲骨・肘関節の動きが悪いことが原因で、肩関節・肘関節の可動性がほとんど出ていなかったため、そのすべての負担が手首に集中してしまっていました。
詳しくお話を伺うと、長年肩こりがあるとのこと。
このような症状の方は、たいてい肩こりに悩まされております。
肘の部分の動きの悪さについて
この方は、肘の部分に存在する近位橈尺関節(きんいとうしゃくかんせつ)という関節の動きが悪くなっていました。
この近位橈尺関節という関節は、肘のあたりと手首のあたりにそれぞれ存在し、肘に近いほうが近位(きんい)、肘から遠いほうが遠位(えんい)と名前がついています。
そして、これら2つの関節が同時に動くことで、車の両輪ように手のひらを上に向けたり下に向けたりすることが可能となっています。(下の画像②に示す)
<画像②:2つの橈尺関節が動く様子(ここでは手のひらを下に向けています)>
この動きが悪くなることによって、手首の他の部分にも痛みが出る場合があります。
そちらはこちらの記事↓でまとめておりますので、気になる方はごらんください。

施術アプローチの要点
この方へのアプローチとしては、以下の2点が重要でした。
- 前腕の筋肉をほぐすこと
- 肩甲骨・肋骨の柔軟性をだすこと
どちらも並行して行っていきますが、まずは肘関節の動きを改善させることを中心に行いました。
具体的には、硬くなってしまっている前腕の筋肉の柔軟性を改善させることです。(下の画像③・④に示す)

<画像③:前腕の筋肉をほぐす必要がありました>

<画像④:体表から見るとこの部分です>
そしてご自宅では、硬くなってしまっている肩甲骨周りの筋肉のストレッチ、肘と手首の間の筋肉のストレッチを欠かさずに継続していただきました。
※痛みが強い場合には、無理にストレッチを行う必要はありません。くれぐれも患部に痛みが波及しないようにやっていただくことが大切です。
ご自宅で積極的にストレッチをしていただいたおかげもあり、徐々に痛みも軽減していき、現在では装具をつけなくても生活することができ、手術を回避することができました。
まとめ
この方は、手首の部分に痛みが出ていましたが、アプローチとしては、肘関節(前腕)・肩甲骨へ行いました。
肩こりと手の痛みは一見すると関係ないように思われるかもしれません。
しかし、人間の身体はつながり、連動して動いているため、どこかに不具合が生じると必ず他の部分に影響を及ぼします。
その関係性を考えながら、日々施術を行っております。
人間の関節には、それぞれ特性があります。気になる方はごらんください。

手首の痛みだけでなく、何かお困りのことがあれば、遠慮なくご相談ください。
今回も読んでいただき、ありがとうございました。

【過去の記事で、膝関節・足関節を中心に、腰・股関節など各関節の記事をまとめております。気になる方はご覧ください】
・膝関節の記事はこちらから→「膝関節の痛み・症例」の記事一覧
・足関節の記事はこちらから→「足関節の痛み・症例」の記事一覧
・腰の記事はこちらから→「腰の痛み・症例」の記事一覧
・股関節の記事はこちらから→「股関節の痛み・症例」の記事一覧
・肘から手の記事はこちらから→「肘から手の痛み・症例」の記事一覧
・首から肩の記事はこちらから→「首から肩の痛み・症例」の記事一覧
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姿勢と歩行の整体院 柔道整復師 渡辺雅之