ふくらはぎのむくみと足・膝・股関節の関係

こんにちは。
姿勢と歩行の整体院の渡辺です。

今回は、心臓や腎臓など内科的な理由のないふくらはぎ(下腿)のむくみと足・膝・股関節の動きの関係について、私の考えを記載していこうと思います。

目次

まずは結論

結論から言います。

ふくらはぎがむくんでしまう理由は、足関節・膝関節・股関節の動きが悪いことが原因で正しく歩けないため、筋肉が正常に働かないからです。

詳しい内容は、以下で解説していきます。

むくみ(浮腫)とは

まず、「むくみ(浮腫)」とは、人体の中で血管から染み出した液性成分が通常リンパ管を通って再吸収されていますが、

その流れが悪くなって液性成分が滞ることによって、ふくらんできてしまうことです。

むくみの原因には様々あり、心臓や腎臓の不調によるものや血液組成の問題など多々ありますが、

ここでは内科的な問題が全くないという前提で記載させていただきます。

なぜ下腿部がむくんでしまうことが多いのか

多くは下腿部がむくんでしまいますが、それには理由があります。

心臓から出た動脈は、心臓が「ドクン!」と拍動して強く押し出された血液であるため、流れに勢いがあります。

さらに下半身に向かう血液は重力が下方に引っ張ってくれるため、より流れやすいといえます。

ですが、下半身から心臓に戻るときが大変なんです。

なぜ大変かというと、心臓に戻るときというのは、重力に逆らって心臓に向かうため、それ相応の力が必要となります。

下腿部のむくみを心臓に返す力とは

では人体はどうやってその力を生み出しているのでしょうか?

答えは、ふくらはぎを中心とした筋肉群が収縮と弛緩を繰り返すことで、ポンプのようにリンパや血液を上方に押し上げる力を生み出しているんです。

ふくらはぎには、たくさんの筋肉が存在していますが、

「腓腹筋(ひふくきん)」と、「ヒラメ筋」という2つの筋肉が大きさ・筋力ともに代表的です。
(下の画像①に示す)

<画像①:右の下腿を後ろから見た図(腓腹筋の深層にヒラメ筋が存在しています)>

腓腹筋とヒラメ筋の働きとは

これらの筋肉が収縮と弛緩を繰り返すことでポンプ作用が生まれると記載しました。

では、収縮するとどのような作用が身体に引き起こされるのかというと、

  • 腓腹筋の収縮:膝関節の屈曲(膝が曲がる動き)・足関節の屈曲(足首が下に曲がる動き)
  • ヒラメ筋の収縮:足関節の屈曲(足首が下に曲がる動き)

先ほどの画像①に示しましたが、どちらの筋肉もアキレス腱となって踵に付着します。

だから、共通して足関節の屈曲運動が生じます。

しかし腓腹筋は膝関節をまたいで、その上に付着しているため、

この筋肉が収縮すると足関節の屈曲運動だけではなく、膝関節の屈曲運動も生じます。

つまり、腓腹筋とヒラメ筋の筋作用というのは、膝関節が曲がったり、足関節が曲がったりする動作ということになります。

よくテレビで「貧乏ゆすりが下腿のむくみに効果的!」と謳っているのは、主に足首の動きでこのポンプ作用が働くからです。

ふくらはぎの筋ポンプ作用を有効に働かせるには

しかし、もっと有効な動作があります。それは、シンプルですが「歩くこと」です。

私の祖父もむくみがあるため、かかりつけのお医者さんに「もっと歩かないとダメだよと言われた」という話をよく聞きます。

しかし、私もたくさんの方の歩行を見させていただきますが、そもそも腓腹筋・ヒラメ筋が働きにくくなっていることが多々あります。

筋肉というのは、ある程度伸ばされて初めて収縮することができます

専門的な話になりますが、筋肉は最も収縮しやすい長さがあり、それを静止長(せいしちょう)といいます。

例えば、下の画像②のように、手首を手のひら側に曲げた状態から、指を握りこむ動作をやってみてください。

<画像②:手首を少し曲げた状態で、指を曲げる>

やりにくくないですか?

きっとやりにくいと思います。

では今度は、下の画像③のように、手首を手の甲側にそらした状態から、指を握りこむ動作をやってみてください。

<画像③:手首を少し反らした状態で、指を曲げる>

こっちの方がやりやすくないですか?

きっとやりやすいと思います。

指を曲げる筋肉は手のひら側にありますが、手首が手のひら側に曲がっている状態だと、筋肉があまり伸ばされていないため、筋力を発揮しにくいんです。だから指が曲げにくいんです。

これと同じことが下腿でも起こります。そうするとポンプ作用が発揮しにくいから、むくみやすいんです。

では、先ほどの腓腹筋とヒラメ筋が、歩行という動作の中で伸ばされる状態とはどういう状態でしょうか?

答えは、脚が後ろに引けている状態です。蹴り出す前の状態とも言えます。

つまり最適な状態とは、

  1. 股関節が後ろに引けていて、
  2. 膝関節がまっすぐに伸びていて、
  3. 足関節が反らされた状態

です。

これら3つの関節のどれか1つでも関節の可動域が不足していると、動きがきれいにでません。

下の画像④をご覧ください。この状態がきれいにつくれてはじめて、腓腹筋とヒラメ筋が気持ちよく収縮でき、アキレス腱を介して力強く地面を蹴り、ポンプ作用が適切に働きます。

<画像④:右足のこの動きがきれいにでることが重要です>

動きがきれいに出ていない方は、その分を無意識にどこかで補おうとするので、例えば、腰の痛みが出やすかったり、変形性膝関節症や外反母趾、足底腱膜炎になるリスクが高く、スポーツを頑張っている方なら、肉離れが多かったりします。

貧乏ゆすり運動ももちろん大切ですが、日ごろ何千歩と歩いている「歩行」そのものの動きを良くすることが、結果的に身体の状態を良くすると考えています。

今回も、読んでいただきありがとうございました。

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姿勢と歩行の整体院 柔道整復師 渡辺雅之

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