姿勢と歩行の整体院の渡辺です。
今回は、【階段で膝が痛む原因と対応】について記載していきます。
膝が痛い主な原因は以下の2つです。
- お尻と太ももの後ろの筋肉を使えていないこと
- 太ももの前の筋肉が硬いこと
どうすれば痛みが減るかというと、以下の2つです。
- お尻と太ももの後ろの筋肉を使えるようにする(エクササイズ・トレーニング)
- 太ももの前の筋肉を柔らかくする(筋膜リリース・ストレッチ)
このようなことを今回は詳しく書いていきます。
階段の動きとは
階段の昇り・降りはいくつかの筋肉で行っています。


階段の昇りの動きは、膝が曲げた状態で上の段に足がついて、そこから膝がまっすぐに近づく動きです。
降りる動きは、膝がほぼ伸びた状態から徐々に曲がっていく動きです。
主に階段で使う筋肉は、
- 太ももの前の筋肉
- お尻の筋肉
- 太ももの後ろの筋肉
これら3つです。
痛みの原因①:お尻と太ももの裏の筋肉を使えていないこと
膝が痛い方は、お尻の筋肉と太ももの後ろの筋肉が使えていません。
前側の筋肉ばっかり使っている状態です。
下の画像は、左側が太ももの前の筋肉、右側がお尻・太ももの後ろの筋肉です。


後ろ側の筋肉が使えていないので、太ももの前の筋肉に頼らざるをえなくなります。
なので、通常よりも膝に負担がかかりやすくなっています。
たとえば3人で荷物を運ぶときに、2人がさぼっているので1人が通常以上にがんばらないといけない状態です。
この太ももの前の筋肉ががんばっているだけでは痛みはでにくいんですが、「硬さ」があると、さらに痛みがでやすくなります。
痛みの原因②:太ももの前の筋肉が硬い
太ももの前の筋肉は、「大腿四頭筋」という筋肉です。

この大腿四頭筋は膝のお皿を通って、膝関節をまたいで、スネの骨の上の方につきます。
なので大腿四頭筋が硬くなると膝のすき間が狭くなる方向に状態になります。
下の画像の黒い矢印は、大腿四頭筋が硬くなることによって、関節が圧縮される様子を示しています。

さらに、膝のお皿(膝蓋骨)は上向きにひっぱられます。
なので、膝の中が痛む方は過剰に圧縮されることによって痛みがでていて、
膝のお皿の周りが痛む方は過剰にひっぱられることによって痛みがでています。
階段を昇ったり降りたりするときには、大腿四頭筋の力・お尻の筋肉・太ももの後ろの筋肉を使います。
ただ、先ほど述べたように膝に痛みがある方は太ももの前の筋肉ばかり使わざるをえない状態になっています。
なので、硬くなった大腿四頭筋で膝関節を必要以上に圧縮しつつ、動かさないといけない状態です。
必要以上の圧縮がかかった状態で動かすので、僕はお料理で素材をすりつぶすイメージを持っています。

圧をかけて、動かす。すりつぶされる負荷がかかります。
こんな力がかかっていたら、それは膝も痛くなりますよね。
膝の中のクッションの役割を果たしている半月板(はんげつばん)や、関節をつなぐ靱帯(じんたい)などの大事な組織があるので、それらが傷つくと関節の中が腫れてパンパンになります。
特に階段は片脚で全体重を支える動きなので、膝にかかる負荷(ストレス)としてはかなり強いです。
この状態になっている方は、
- 正座がしにくくなったり
- しゃがみ動作で膝に痛みがでたり
- 長時間歩行で膝に痛みがでたり
- ひどくなると、膝の曲げ伸ばしで痛みがでたり
します。
アプローチ①:お尻と太ももの後ろの筋肉を使えるようにする
お尻と太ももの後ろの筋肉が使えていないから、太ももの前の筋肉を使いすぎて、痛みが出る。
なので、使えていない筋肉を使えるようにします。
「使えていない」=「眠っている」と考えてください。
眠っているので、起こしてあげます。
起こすために、トレーニング(エクササイズ)を行います。
ここでは2つ紹介します。
- クラムシェル
- スクワット
やる順番としては、まずは負荷が軽いものからやり、徐々に負荷を上げていきます。
クラムシェル
まず1つ目は、クラムシェル。
横向きで寝て、上の脚を開く動きをします。



注意点は、骨盤が後ろ側に開かないように、脚だけ動かすことです。
ちゃんとできていれば、回数を重ねるごとに上のお尻の筋肉が疲れてきます。
スクワット(お尻や太ももの後ろの筋肉にきくように)
スクワットはやり方によっては、太ももの前を使ってしまうので、注意が必要です。



ポイントは、上から見たときに膝のお皿をつま先が越えていないことです。
そこから、股関節から上半身を1つと考えて、股関節を前に曲げていきます。
身体が前に倒れようとするので、後ろの筋肉がブレーキをかけようとして、自然とお尻と太ももの後ろの筋肉に力が入ります。
まずは何も持たずに行い、慣れてきたら下の画像のようにダンベルや重りをもって行うと、より筋力が上がります。

ただいきなり重い負荷で行うと筋肉を痛める可能性が高いので、気をつけてください。
そして、もしトレーニング後に筋肉痛がきたら、72時間程度はトレーニングは休んでください。
その期間に筋肉が修復されて強くなって再生するので、72時間経過後に以前より少し負荷を上げて行ってください。
それを繰り返していくことで、眠っている筋肉が使えるようになり、さらに強くなっていきます。
アプローチ②:太ももの前の筋肉を柔らかくする(筋膜リリース・ストレッチ)
太ももの前の筋肉が硬くなっている状態で階段を昇り降りすると、関節にものすごい負荷がかかります。
だから、太ももの筋肉をやわらかくしましょう。
やわらかくする方法は、手で直接伸ばしたり、ストレッチをしたり、フォームローラーやボールで伸ばすことです。
ただ、「痛み」がでている方は、かなり硬くなっています。
硬くなりすぎていると、通常のストレッチでは伸びないことが多く、ストレッチをすると膝が痛い場合が多いです。
その場合はストレッチはやらずに手で硬い部分をねらってピンポイントで伸ばしたり、フォームローラーなどで伸ばす必要があります。




余裕があればお尻・太ももの後ろの筋肉も柔らかく
余裕があれば、お尻・太ももの後ろの筋肉も柔らかくしましょう。
お尻はボールで、太ももの後ろはストレッチがやりやすくおすすめです。


お尻は、膝を曲げて仰向けで寝て、お尻の下にボールを入れてください。
もし脚にしびれがでたら、ボールの場所をずらすとしびれがなくなるはずです。
太ももの後ろの筋肉は、いすに座った状態で膝を伸ばしていただき、股関節から前に曲げていきます。
太ももの後ろの筋肉が伸びている感覚があれば、正解です。
ふくらはぎばかり伸びてしまう方は、少し膝を曲げてやっていただくと、太ももの後ろが伸びてくるはずです。
伸ばす時間がかなり重要
伸ばす時間は、1カ所につき「30秒を4回(合計2分)」を「2日に1回以上」です。
ストレッチでは筋肉を広範囲に伸ばしやすいですが、フォームローラーやボール、手などで伸ばす方は、一回で伸ばせる部位が限られているので、広範囲を伸ばすためには結果として時間がかかってしまいます。
痛みがある方はかなり硬くなっているので、毎日やったほうがいいです。
ただ、「もみ返し」といって、伸ばしたりほぐしたりした翌日に、触った部位が痛かったら、そこには刺激をいれないでください。
1~2日経過すれば、その痛みは収まってきます。
もみ返しがきていない部分をゆるめていってください。
痛みが少しでも減る場合はぜひ続けてください
人間の身体はすごいです。
少々の負荷には耐えられます。
だけど痛みが慢性的に出ている場合は、負荷が痛みが出るハードルをずっと超えている状態なので、身体の治癒力が負荷に負けています。
だからいつまでも痛いんです。
関節がかなり変形して、軟骨もかなりすり減っている人は改善が難しい場合もあります。
ただ、もしお伝えしたストレッチやエクササイズをやって、痛みが少しでも減ってくる場合には、ぜひ続けてみてください。
この記事を見てくださったあなたの痛みが減ることが一番嬉しいです。