こんにちは。
姿勢と歩行の整体院の渡辺です。
今回は、「ランニングをすると膝の外側が痛い【ランナー膝・腸脛靭帯炎】」というクライアントさんの改善例を紹介します。
この方の痛みは、
- 股関節の周囲の筋肉が硬いこと
- 足関節の背屈(はいくつ)の動きがでていないこと
が原因でした。
なぜその部分に痛みがでていたのか、どうすれば改善したのかを記載していきます。
患者さんの情報と訴え
このクライアントさんは、40代前半の男性で、週に6日、約8kmランニングをしていました。
それまで一度も膝が痛くなったことはなかったのに、1か月ほど前から左膝の外側に痛みが出始めました。
痛みがでるタイミングは、走り始めてから3~4kmの時点で、最初は痛みなく走れるが、距離数が増えるとともに痛みが強くなってくるという特徴がありました。
痛みの出ていた場所を下の画像①に示します。

<画像①>
この部分は、骨盤から始まる「大腿筋膜張筋(だいたいきんまくちょうきん)」が「腸脛靭帯(ちょうけいじんたい)」という組織になって、膝の下の脛骨につく部分です。
この部分や、もう少し上の腸脛靭帯部が痛くなる疾患を、整形外科的には「腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)」や「ランナー膝」といったりします。
以前の記事で、腸脛靭帯炎について詳しく記載しておりますので、気になる方は以下の記事↓をごらんください。

では次に、この方の痛みの原因について記載していきます。
この方の痛みの原因
この方の痛みの原因は以下の2つでした。
- 股関節の周囲の筋肉が硬いこと
- 足関節の背屈(はいくつ)の動きがでていないこと
腸脛靭帯炎になる方は、基本的に外側荷重です。
外側荷重とは、親指側ではなく小指側に体重が乗りやすい状態です。
体重が外側に乗れば乗るほど、太ももの外側に位置する腸脛靭帯で荷重を受けてしまうため、腸脛靭帯炎になりやすいんですね。
体重が外にかかりやすいというのは以下の画像②をイメージしていただければよいと思います。

<画像②>
股関節について
腸脛靭帯は、以下の画像③のように、ほぼ太もも外側に位置しています。

<画像③:腸脛靭帯>
太ももの外側にあるからこそ、股関節の筋肉の影響を強く受けます。
具体的には、太ももの内側の「内転筋(ないてんきん)」という筋肉です。(下の画像④に示します)

<画像④:内転筋>
内転筋が硬くなると、歩いたり走ったりするときに骨盤が外側に移動しやすくなり、体重が小指側にかかりやすくなります。
なので内転筋をストレッチすると、骨盤が外側に移動しにくくなるため、腸脛靭帯にかかるストレスが減っていきます。
内転筋のストレッチは、以下の記事に記載しておりますので、ぜひごらんください。

足関節について
足関節には2つの動きがあり、足を反らす「背屈(はいくつ)」と、足を下に曲げる「底屈(ていくつ)」です。
腸脛靱帯炎と関係が特に深いのは、特に「背屈」です。
下の画像④をご覧ください。

これらの動きです。
足や膝の痛みの多くの場合で、足の背屈が正しく出ないことが大きな原因になります。
背屈がでないとどうなるかというと、体重が外に逃げます。
つまり「外側荷重」となります。
股関節の内転筋も硬くなっていて、足関節の動きも悪いと、その間に挟まれている膝には上下から腸脛靱帯に負担のかかる状態になってしまうんです。
次に、施術アプローチの要点についてまとめます。
施術アプローチの要点
施術アプローチの中心は、股関節と足関節の動きを良くしていくことでした。
このクライアントさんの場合、股関節の影響が強く出ていたため、股関節を中心に施術を行いました。
最初はなかなか痛みが引いてきませんでしたが、可動域が改善してくるにつれ、歩行も良くなり、それに伴って膝への負担も減っていきました。
懸命にセルフケアに取り組んでいただいたこともあり、予定よりも早い2ヶ月ほどで痛みが完全に消失しました。
最後には体幹部のエクササイズも行い、予防もかねて月に1回のメンテナンスにも来院いただいております。
まとめ
今回は、股関節と足関節の動きが悪いことが原因で、膝に負担がかかって痛みがでた腸脛靱帯炎のクライアントさんを紹介しました。
原因となる部位に正しくアプローチできていれば症状は改善しますが、原因ではないところをいくらストレッチしたりほぐしても、症状が改善することはありません。
私は、あなたの痛みの本当の原因をしっかりと見つけていきます。
当院では、あなたのお身体の状態に合わせて施術を行わせていただきます。
もし何かお困りのことがあれば、遠慮なくご相談ください。
今回も、読んでいただきありがとうございました。
名古屋市北区 地下鉄志賀本通駅から徒歩5分
姿勢と歩行の整体院 柔道整復師 渡辺雅之