【改善例紹介】膝を伸ばすとお皿の内側が痛む

こんにちは。
姿勢と歩行の整体院の渡辺です。

今回は、「膝を伸ばすとお皿の内側が痛む」という主訴の症例について、記載していこうと思います。

目次

患者さんの情報と訴え

この方は20代後半の女性で、約2か月前から右膝の上記の症状があるとのことでした。

痛みの出ていた部分を下の画像①に示します。

<画像①:下肢を前から見た図>

膝の前には、大腿四頭筋(だいたいしとうきん)という人体で最強の筋肉が存在しており、膝のお皿と表現される膝蓋骨(しつがいこつ)を介して、「膝を伸ばす」という動きを行います。

この「膝がまっすぐに伸びた状態」がとても大事で、膝がまっすぐに伸びると、その内側と外側にある側腹靭帯(そくふくじんたい)という靭帯がピーンと緊張します。

この靭帯は膝が左右にグラグラしなくなるのをしっかりと止めてくれるストッパーの役割を果たすため、膝の安定性が増します。

そして、膝がまっすぐに伸びないと靭帯が緩んでしまうため、膝の安定性が損なわれて不安定になり、けがをしやすかったり姿勢が悪くなったり、正常な歩行ができなくなったりします。

そうなると腰や足などに痛みを出しやすくなってしまいます。

そして、先程の画像①の部分というのは、外観的には膝の関節の中なのか、外側なのかはっきりしないため、しっかりとした評価が必要です。

通常、膝関節の中の組織である半月板や関節軟骨に何か異常が起こっていると、炎症が起こって、いわゆる「膝に水が溜まった状態(関節水腫)」になります。

外から触るとわかりやすく、主観的にも膝を深く曲げた際に、膝の後ろ側などに違和感が出現しやすいです。

痛みの部位

この方は幸い膝の中での異常は認められず、どちらかというと膝の表層の組織で痛みが出ていると考えられました。

では、そこにはどんな組織があるのかというと、「内側大腿膝蓋支帯(ないそくだいたいしつがいしたい)」という組織です。(下の画像②に示します)

<画像②:右膝を前から見た図、内側大腿膝蓋支帯を示す>

この組織は、膝蓋骨の内側に付いています。

内側大腿膝蓋支帯の役割

主な役割として、

  • 膝蓋骨の外側への偏位を防ぐ
  • 膝の関節の袋を補強する

があります。

この方の痛みの原因

このことを踏まえて、この方の姿勢・歩行・骨格の向きなどをチェックしていきました。

そうすると、すごく特徴的な所見がありました。

右の大腿骨が過剰に内側に回旋していたんです。

下の画像③の状態です。

<画像③:下肢を前から見た図、右の大腿骨が内側に回旋している様子を示す>

外観的には、膝が内に向いている状態です。

この状態は、専門用語でKnee-in Toe-out(ニーイン トーアウト)といい、膝が内を向き、つま先が外を向く、非常にけがをしやすい状態です。

そして、膝蓋骨というのは、大腿骨の下の方の前に位置しています。

なので、大腿骨が内側を向けば向くほど、膝蓋骨は相対的に外側に押し出される力がかかります。

下の画像④に示します。

<画像④:右の大腿骨が内側に回旋すると膝蓋骨が外に押し出される力がかかる様子を示す>

膝蓋骨が外側に引っ張られるということは、内側大腿膝蓋支帯も一緒に外側に引っ張られます。

つまり、普通にしているだけで、テンションがかかっている状態です。

この方の訴えは、「膝を伸ばすとお皿の内側が痛む」ことでした。

この骨格の向きの不良がある状態で、「膝を伸ばす」ということは、大腿四頭筋に力が入るということです。

大腿四頭筋は骨盤から膝の前面下部についているため、収縮すると、膝蓋骨が上に引っ張られます。

ということは、こうなります。(下の画像⑤に示す)

<画像⑤:外に引っ張られている膝蓋骨(青い矢印)が、大腿四頭筋によって上外方に引っ張られる(赤い矢印)>

この状態です。

ただでさえ、内側大腿膝蓋支帯が外側に引っ張られてテンションがかかっている状態なのに、さらに膝蓋骨が上に引っ張られるので、耐え切れなくなって痛みを出しているんです。

まとめると、この方の痛みの正体は、悪い姿勢(骨格の向き)がある状態で力が入るため、過剰に内側大腿膝蓋支帯が引っ張られて出た痛み(伸張時痛)と私は判断しました。

施術アプローチの要点

ですので、この方に対しての私の施術アプローチの要点は、過剰に内側に回旋している右の大腿骨を、外側に回旋させることでした。

大腿骨を内側に回旋させる原因は、股関節・足関節からの影響など様々ありますが、重要なのは、太ももと骨盤の筋肉の硬さを取ることです。

この方は、比較的若い年齢の方でしたが、左右の股関節の関節可動域の左右差が著明で、非常に筋肉が硬くなっておりました。

アプローチしたのは、下の画像⑥の筋肉です。

<画像⑥:右の大腿四頭筋を示す>

この筋肉の柔軟性を出していけば、膝関節の動きが改善し、膝本来の正しい軸で力を入れることができます。

ただし、せっかく柔軟性を出しても、再び筋肉が硬くなっては意味がありません。

なので、膝だけでなく、股関節・足関節・上半身を含め、トータルなアプローチをしていきます。

症状の出ている部位だけでなく、患部外の関節や骨格の評価も詳細に行い、あなたのお身体の状態に合わせて施術を行わせていただきます。

もし何かお困りのことがあれば、遠慮なくご相談ください。

今回も、読んでいただきありがとうございました。

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